没後30年 木下佳通代 KINOSHITA Kazuyo : A Retrospective
神戸に生まれ、関西を拠点に活動した作家、木下佳通代(1939 – 1994)の個展を、日本国内の美術館で初めて開催する。
木下の作家としてのキャリアは、60年代、前衛美術の集団「グループ〈位〉」の活動に携わったことから始まった。そして、70年代には、写真を用いながら、イメージと知覚、物質の関係を考察する作品を数多く手がける。80年 代には、抽象絵画へと表現の軸足を移す。一筆ごと一筆ごと、自らの感覚を鋭く問いながら作り出された絵画は高い緊張感を備えており、彼女の表現の集大成とも呼べるものである。本展は過去最大規模の木下の個展となる。ごく初期の作品から、代表作、そして絶筆にいたる彼女の活動を一堂に紹介し、今あらためてその表現の全貌に迫る。
木下佳通代について
木下佳通代(1939–1994)は神戸を拠点に活躍した、関西の戦後美術を代表する美術家のひとりである。木下は京都市立美術大学(現 京都市立芸術大学)で学び、神戸市で美術教師として勤めたのち、1960年代末から「存在とは何か」をテーマに作家活動を本格化した。
活動初期は写真を用いた作品を制作し、若くして評価された木下は関西、東京、海外と活動場所を広げ、そして1981年にドイツのハイデルベルクで個展を開催し、ヨーロッパでも高く評価される。海外での個展後の1982年にこれまでの作風から離れ、抽象画を描くようになり新たな作風で今後の活動も期待されるなか、1990年のがん宣告によって木下の活動は変化していった。
病魔にむしばまれながらも「描きたい、描きたい、時間が欲しい」と制作を続けた木下は1994年に55歳の若さで亡くなる。約30年間の作家活動で制作されたとされる1200点以上の作品は、関西各地の美術館などにコレクションされているため、国内で作品を展示されることはあったが注目される機会は限られていた。しかし、2015年に海外の展覧会に出品されたことを契機に、現在海外でも再び注目を浴び始めている。
本展は国内の美術館では初めての個展、そして作家 木下佳通代の過去最大規模の展覧会となる。本展では彼女の初期の作品や代表作、そして燃え尽きる命を思わせる絶筆に至る木下の活動を一挙に紹介する。
「没後30年 木下佳通代」展覧会概要
■展覧会名:没後30年 木下佳通代
■会期:2024年5月25日(土)~8月18日(日) 76日間
■休館日:月曜日 *7/15(月・祝)、8/12(月・休)は開館
■開場時間: 10時~17時(入場は16時30分まで)
■会場:大阪中之島美術館 5階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-1)
■公式サイト:https://nakka-art.jp/exhibition-post/kinoshita-kazuyo-2024/
■問い合わせ先:電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター・年中無休8時~21時)
■主催:大阪中之島美術館
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